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『境界 世界を変える日本の空間操作術』【和書定価新本】
¥3,300
垣根、塀、犬矢来、障子、土間、三和土、関守石、鳥居……。 日本建築には、柔らかな境界を作り出す知恵が古くからあります。内と外、光と影、聖と俗の境界を、物理的に強固な障壁によってではなく、人の意識に働きかけるある種の「結界」を自在に操ることで、作り出します。 本書は静けさの漂う端正な写真を数多く掲載して、伝統的な美をありのままに伝えてくれます。巻末では、日本の現代建築を牽引する3人、隈研吾、藤本壮介、石上純也が、日本の伝統的空間操作術の実践として、それぞれの建築作品を開設するテキストを寄せています。 「人と人、人と物、人と自然の関係を繊細にコントロールし、調整できる建築」、「関係性の建築」が現代建築の目指す新しいスタンダードであり、日本建築はその大きなヒントになると、彼らはいいます。 私たちひとりひとりにとっても、他者と共生しやすい生活の形を考えるヒントがここにあるかもしれません。 『境界 世界を変える日本の空間操作術』 監修 隈研吾/写真 高井潔 淡交社
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『トーキョー湯けむり裸の心 品川Lover編』川上修生【和書定価新本】
¥900
「これはどこの銭湯でも同じなのだが、その日最初に全身を湯に浸すときの快楽と言ったらない。 無上の無上。 全身がジンジンジンジン喜びで満たされる。」 品川区で営業している銭湯は、今年4月の時点で20だそうです。そのうち19の銭湯を巡って、銭湯へのラブレターのごとく思いの丈を綴った銭湯ジンがこれ、『トーキョー湯けむり裸の心 品川Lover編』です。 書いたのは川上修生さん。どうやらフラヌール書店からも近い戸越銀座あたりにお住まいで、街歩きと銭湯が大好きなことがおしゃべりから察せられます(お話するのも本を見せてもらうのも今日が初めてなもので)。品川区にとどまらず、東京中の銭湯探訪を続けているといいます。 「端的に言うと、『救われた』のです。銭湯に」 銭湯探訪のきっかけをそう語る川上さんの文は、建物の細部や周りの町並み、お風呂で居合わせた人々とのささやかな交流など、消えつつあるものを大切に掬い上げるような優しさがある……とも言えますが、コミカルでテンポよく進んでいきます。カバーのイラストも川上さんが描いているのですが、このタッチのユルさそのままの文章。 銭湯で会う人々の日常だけでなく、銭湯とその周辺の街の歴史にも目を配る、散歩者の眼差しが素敵な一冊です。 『トーキョー湯けむり裸の心 品川Lover編』 川上修生
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『The Ordinary』シンボケンタ【和書定価新本】
¥1,600
どこにでもいそうなおじさんの、なんとも愛嬌のある佇まい、哀愁のある後ろ姿がとても良い! スケッチ集『CITIES AND PEOPLE』で都会の日常に埋もれた小さくて温かい人々の姿を見つけ出して描いたシンボケンタさん。彼がそれ以前に描いていたスケッチが、この『The Ordinary』です。 なんてことない毎日、見慣れた街並みや流れ去っていく人々の中に、ささやかな郷愁や好奇心、共感や安心を見つけ出すことができる。このスケッチを見ていると、そんな眼を私たちも持てるようになる気がします。 『The Ordinary』 Kenta Shimbo シンボケンタ 『CITIES AND PEOPLE』も合わせてぜひチェックしてみてください。 https://flaneur.base.ec/items/113187165
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『CITIES AND PEOPLE』シンボケンタ【和書定価新本】
¥2,200
都会に集まるお互いに交わることもほとんどない人々。その流れをずっと眺めていると、ささやかな偶然の交わりや人の飾らない素朴な所作を見つけて、心が和むことがあります。 あるいは、のっぺりとしたビル群やバチバチに作り込まれたショップのファサードの隙間に、誰の意図からもこぼれ落ちた無造作な配管や壁面を発見して、都市の隠れたレイヤーがあらわになる。それは、この街の素顔を見つけたようで、土地への愛着がぐっと増すように感じます。 このスケッチ集には、そんな小さな幸せの断片がたくさん集まっています。 「退屈な場所だな」 イラストレーターでゲーム・クリエイターのシンボケンタさんは、10年間暮らしたカリフォルニアから東京に移住した当初、そんなふうに感じていたといいます。暮らしはじめた東京に「どこか外からこの街を眺めているような」よそよそしさを抱いてしまう。 そんなシンボさんを救ったのはスケッチでした。 「街を歩き、景色や光景を見て、絵を描く」 その習慣は、彼を東京の内側に引き込んでくれたといいます。 「そんな東京へ、最初は斜に構えててごめんねという気持ちと、今の素直な愛着を詰め込んでラブレターとしてスケッチをまとめた」 それがこの本です。 きっとみなさんも目にしたことがる風景が描かれているし、今まで見逃していたかもしれない小さな幸せを探したくなるんじゃないかと思います。 『CITIES AND PEOPLE』 Kenta Shimbo シンボケンタ
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『簡素な生き方』【和書新本定価】
¥1,540
「自分が持っているものに対する満足感は、持っていないものへの執着によって驚くほどかき乱されます。」 多様性の時代と言われる昨今、非常に多くの情報が毎日溢れていて、無意識のうちに関心は自分ではないところへ向いている時間が増えているように感じます。 生き方における『本質』は何なのか、何を心に留めて生きていくのか。 改めて自分の根底にある本当の気持ちと向き合える機会をくれた1冊だと感じました。 120年前も今も、人生において重要なことはシンプルで変わらないもの。 でも、変わりゆく時代の中でその重要なことを忘れてしまうことがある。 大切にしていきたいことを見失わないよう、また時間が経ってからも読み直したいと思いました。 以下、出版社の紹介ページより引用 100年前にフランスで生まれ、アメリカで100万部を突破した「うつくしい道徳」が、よみがえる。心を正す、簡素な生活とは? 精神の在り方とは? 人との接し方とは?今こそ読み直したい、心を正し、簡素に生きるための指針。 100年前にフランスで生まれ、アメリカで100万部を突破した「うつくしい道徳」が、よみがえる。 心を正す、簡素な生活とは? 精神の在り方とは? 人との接し方とは? 今こそ読み直したい、心を正し、簡素に生きるための指針。 フランス・シンプル思考の源流。 ○簡素の精神 簡素の本質とは、質素な服、住まい、ほどほどの暮らし、貧乏を指すのではない。 簡素な生活とはシンプルな暮らしではなく、あるがままの自分でいること。 人間の理想は、生活を生活そのものより偉大な宝物に変えること。 ○簡素な言葉 新聞をうのみにするな。記者は相食む蛇であり、仲間内で競争をしている。 事実ではなく利益になることを言う人の、単純化された話を信じてはいけない。 美しい言葉は着飾った奉公人のようなもので、奉公人本来の役目を果たさない。 ○簡素な義務 偉業に挑んで失敗した時ではなく、単純な義務を怠けたとき、人は魂を失う。 破産して「何一つ失うものはない」というときは、手元に残った破片を拾うこと。 窓ガラスが割れた時、犯人が見つかるまで割れたままにしておくのは愚かなこと。 ○簡素な楽しみ 戦場で一瞬、歌を口ずさむ兵士がいるように、困難のさなかにも喜びは見つかる。 喜劇を見て評論する知識人より、大笑いする庶民のほうが、楽しむことの達人。 悲しむ人に合わせて悲しい顔を作るより、その人が一粒の楽しみを見つける手伝いをせよ。 ・・・このほか、思想、欲求、ビジネス、人間関係、家庭、センスについて、いかに簡素であるべきかを提示。 *** 本書は著者が結婚式でしたスピーチがもととなっている。話に感動した列席者が出版社に勤めており、書籍化を提案。半年後にフランスで刊行された。 ルーズベルト大統領が「私たちが心に銘記すべきことをこれほど多く含んでいる書物は、私の知る限り他にはない」と絶賛したことでアメリカで100万部を超え、ヨーロッパでもさらに広く読まれた。 引用元ページ https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000189944 『簡素な生き方』 シャルル・ヴァグネル著 山本和子訳 講談社 ISBN:978-4-06-220213-8
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『朝のピアノ 或る美学者の「愛と生の日記」』キム・ジニョン【新本和書定価】
¥2,420
この234の断章は死をもって終わるけれど、そこにある静かで確かな生きる意志は、これを読んだ私たちみんなの別々の生の中に続いていく。そんな思いが湧き上がる一冊です。 「2017年7月、がんの宣告を受けた。それまで続いていたすべての日常生活は、シャッターを下ろしたように中断された。病院での闘病生活が始まり、患者としての日々が始まる。あれからちょうど十三ヶ月。この書は、その間に私の体と心、そして精神を通り過ぎていった小さな出来事の記録である。」 この日記の主、キム・ジニョンは韓国の哲学・美学者で、ヴァルター・ベンヤミンやロラン・バルトの研究者として知られています。彼が死の三日前まで綴ったこの日記は、内省の言葉、日常の描写、哲学的な思索、マルセル・プルーストやグレン・グールド、松尾芭蕉の引用がちりばめらた断章で、彼自身が翻訳したバルトの『喪の日記』を彷彿とさせます。 『喪の日記』が母を失った悲しみの中から新しい生と愛を見つけ出す試みだったように、この日記は死の迫る中にあっても生きること、他者を愛することを捉え直す試みのように読めます。 「病は自然である。わたしはいま、自分の中の自然と向き合っている。自然と向き合うということーーこれは忘れられていた原点に戻るということ、わたしの自然と新たな人生を始めるということだ。ヴィタノーヴァの時間。」 『朝のピアノ 或る美学者の「愛と生の日記」』 キム・ジニョン 著 小笠原藤子 訳 CEメディアハウス 刊
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『UNKNOWN LAKE 琵琶湖』辻田新也【新本和書定価】
¥3,630
カバーを飾るのは、琵琶湖に龍が舞い降りた奇跡の瞬間。こんなにも広い水面に細波ひとつなく、奥には岸辺まで山々が迫り、その向こうには桃色の空。神々しい光景です。 龍の雲という象徴がなくとも、この写真集に収められた琵琶湖のあらゆる姿に、静かで泰然とした神々しさを感じます。 人の営みを示すものを捉えた写真はあまりなく、ただただ多彩な琵琶湖の表情に圧倒されます。この景色を太古の昔から人々が見つめてきたことに思い至るとき、その人々の営みを想像し、時を超えて彼らと心が通じる気さえします。 琵琶湖に行きたくなります。 『UNKNOWN LAKE 琵琶湖』 辻田新也/能美舎
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『怪談 こわくて不思議な10の話』小泉八雲【新本和書定価】
¥1,870
「雪女」や「ろくろ首」、「耳なし芳一」といった馴染みのあるお話から、「団子をなくしたおばあさん」といった可笑しみのある小品まで、怪談の持つ美しさと怖さを感じられる一冊。音読することを大切にした文章は、日本語の心地よい流れを感じることができ、子どもも大人も楽しめます。 本書は、小泉八雲/ラフカディオ・ハーンが1904年に書いた日本の怪談集”Kwaidan”の新訳。絵本、児童文学の翻訳を数多く手がけてきた小宮由さんは、「より語りに適した文にしたい」という思いで、選りすぐりの10篇を訳しおろしたと言います。 原典である日本の怪談、民話でなく、なぜ八雲の再話なのか。八雲の怪談は、妻のセツが自身の言葉になるまで温めてから夫に語り聞かせたもの。八雲はそれをさらに英語で再創造しました。その過程は、換骨奪胎ではなく、二人が心を通じて日本的霊性ともいうべき深みからエッセンスを取り出してくる作業だったのではないでしょうか。 訳者小宮さんによるあとがきは、小泉八雲という特異な存在を理解するためのコンパクトでわかりやすい解説となっています。アイルランドとギリシャのミックスという出自、両親と早くに離別したこと、流浪の人生、彼を取り巻く人々など、とてもドラマティック。 なぜ八雲は日本の怪談をかくもすばらしく再話できたのか。その考察は、あとがきの中でとくに面白いところかもしれません。八雲と共に暮らした四人の女性たちは、みな語り部だった。彼女たちがもたらしたたくさんの物語が彼の内的な世界を大きく育てたといいます。母のローザはギリシャ神話を、乳母のキャサリンはケルト民話を、最初の妻マティはクレオールの幽霊譚を、終生の妻セツは怪談を。八雲を導いた彼女たちへの興味も掻き立てられます。 秋からはNHK朝の連続小説「ばけばけ」でも描かれるという小泉八雲の世界を知る入り口としてもおすすめです。 『怪談 こわくて不思議な10の話』 小泉八雲 作 小宮由 選・訳 アノニマスタジオ 刊
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サイン本『くるぶし』町田康【和書定価新本】
¥2,860
SOLD OUT
町田康さんのサイン本が1冊だけ再入荷しました。 パンク・ロック、古典芸能から現代文学まで、誰にも真似できないグルーヴ感で繰り出す町田康が、2022年夏から23年にかけて日々作り続けた短歌352首を集めた歌集です。 ハードカバーに箔押し、本文用紙の小口も濃紺に染められた美しい造本です。 『くるぶし』 町田康 COTOGOTO BOOKS
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『アジア「窓」紀行』【新本和書定価】
¥2,420
「窓」に魅せられて上海からエルサレムまでアジア大陸を横断した建築学生が綴った旅の記録。 日常生活の場である家屋の内と外をつなぐ窓を丹念に調べ、土地土地の気候風土と人の暮らしの関係、人々が住まいに託す思いなど、多くのことを窓から読み解いていきます。 「家を見せてほしい」。著者のその一言から、現地の人々との思わぬ交流が広がる様子に心温まります。私たちも、窓でなくてもいい、何か物差しを持って旅をしてみたいと思わせてくれます。 『アジア「窓」紀行』 田熊隆樹 著・写真 草思社 本体2,200円+税10% ISBN:9784794226129
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『体の贈り物』レベッカ・ブラウン&柴田元幸サイン本【和書定価新本】
¥2,420
『体の贈り物』 レベッカ・ブラウン 著/柴田元幸 訳 twililight 刊 ※2001年マガジンハウス版/2004年新潮文庫版の復刊です。
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『Mo Story 子猫のモー』【和書新本定価】
¥2,750
手のひらに収まるすべてが愛らしいとしか言いようがない、とてもおすすめの絵本です。 不思議な光を追って、家族が寝静まった家を飛び出してしまった子猫のモー。 そのあどけない好奇心も、モーを助ける森の動物たちの気の良さも、彼らのすべての表情もしぐさも朴訥さも、すべてが愛らしいんです。 小ぶりで広げた手のひらほどのハードカバーというのが、また愛らしいんです。 【出版社HPより】 ある眠れない夜、子猫のモーは窓の外に見つけた”笑っている光”を追って、森へ冒険にでかけます。モーは森で出会った気さくで楽しい動物たちから、旅に出る前の準備や、初めて会う人への挨拶の仕方、気持ちを共有する方法など、さまざまな知恵を学びます。しかし、同時に動物たちは皆、森に住む恐ろしいクマに気をつけろと警告するのでした。モーはクマに出会わずに、”笑っている光”を見つけることができるでしょうか? 韓国在住の人気イラストレーター、チェ・ヨンジュが描く子猫のモーの冒険が待望の日本語化! 日本語翻訳は『大家さんと僕』などの心あたたまる漫画作品も手掛ける、芸人・漫画家のカラテカ矢部太郎が担当しました。 新たな挑戦や出会いを前に一歩を踏み出す勇気をもらえる、子どもも大人も楽しめる絵本です。 http://www.genkosha.co.jp/gmook/?p=34137 『Mo Story 子猫のモー』 チェ・ヨンジュ Yeonju Choi 作・絵 矢部太郎 訳 玄光社 刊
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『ぼちぼち』藤岡みなみ【和書定価新本】
¥2,200
「1分でニヤリ、生着密着小ネタ約270本。暮らしのそばに置いて、ただ笑ってほしいだけの本です。」 文筆家でラジオ&ポッドキャストのパーソナリティ、タイムトラベル専門書店もやっている藤岡みなみさんの新しい本が出ました。 公園でどこかのお父さんがドローンを飛ばしているのを「値段も高そうだな〜」と思って眺めていたら顔の真横まで近づいてきて、よく見たらクマンバチだったとか、妹を元気づけようと思ってオンラインで桃鉄の対戦をしていたらいつの間にか私v.s妹の夫になってしまい100億借金のボロ負けとなってしまったとか、ブルーベリーを鷲掴みでパクパク食べたあとに電車に乗っていたらポロッと何かが落ちて、ブルーベリーだと思って慌てて拾ったらイヤホンの黒いゴムだったとか。そんな日常のちょっとしたことなんですが、藤岡さんの飄々とした文章で読んでいる(というか語りを聞いている感じ)と、ニヤニヤしちゃう。なんでなんでしょう。 ずっと読んでいると、自分の暮らしの中にもちょっと可笑しいことがいっぱいあるような気がして、いい気分になります。 『ぼちぼち』(藤岡みなみ/nululu)
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『ドロップぽろぽろ』サイン本【和書定価新本】
¥1,430
エッセイスト中前結花さんのあたらしい本『ドロップぽろぽろ』が入りました。 【サイン本でお届けします】 「取るに足らないけれどわたしの胸に残った、ぽろぽろ涙した思い出話を集めました」という11のエピソードを集めた本作は、中前さんのうれしい涙、かなしい涙が柔らかい言葉で素直に語られていて、読んでいる私たちもじーんとしてしまいます。 でも、どのエピソードも途中で何回か笑わせに来てるんです、中前さん。ぜんぜんわざとじゃないと思うんですが、とてもナチュラルに一回笑わせてくれてからじーんとして終わる。 とってもいい一冊だと思います。 はじめに 神様のテスト アーモンドの予感 ショッキング・ピンク・ショック 梅の花 お母さーん! アドベンチャー あの朝とベーコンハンバーグ 湿布のアイス チロリン村 あなたへの旅 スーパーマンじゃない あとがき 『ドロップぽろぽろ』 中前結花 著 ちえちひろ 装画 飯村大樹 デザイン
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『ビーマイベイビー Mitsuo Shindo Retrospective』【新本アウトレット】
¥1,760
SOLD OUT
【これが半額でいいのか?!アウトレット・シリーズ】 松任谷由美、サザンオールスターズ、ピチカートファイブ、フリッパーズ、コーネリアス、カヒミ・カリィ、SMAP、MISIA、宇多田ヒカル、Mr.Children、トライセラ、ブランキー、エレカシ……80年代から10年代後までの日本のロックとポップスを見わたしたとき、アート・ディレクター信藤三雄がどれほど多くの音楽家たちのヴィジュアルを作り上げたのか、その仕事の大きさに驚きます。 この本は2018年に世田谷文学館で行われた展示「ビーマイベイビー 信藤三雄レトロスペクティブ」の公式図録として作られたもの。数えきれないほどのジャケット・ワークとポスター、信藤本人をはじめリリー・フランキーや横山剣らのインタビューを収録して、300ページを超える充実した内容です。 もちろん新本で、古書ではありません。 問屋さんの在庫はすでに払底しておりましたので、この価格で買える機会は今だけかもしれません。 『ビーマイベイビー Mitsuo Shindo Retrospective』 信藤三雄/平凡社
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『je suis là ここにいるよ』【新本和書定価】
¥2,640
こんなに心に染みる造本があったかな……と思える、ずっと持っていたい絵本が生まれました。 亡くなってしまって、もう姿が見えない愛するネコ。見えないけれど、いまもここにいる。 ネコを亡くしたボクはただ一人、クリーム色の本文用紙にぽつんと描かれている。 亡くなったネコは、薄い膜のような半透明の紙に描かれて、いつもと同じくボクの側にいるのに、別のレイヤーに行ってしまってボクには見えない。 それが、段々と、見えないけれどそこにいると感じられてくる。 愛する存在と死別する悲しみとそれを受け入れること、その心の流れを、造本の技法によってこんなにも心に迫るものとして表現できるなんて、素晴らしいなと思います。もちろん、素直で余計なものを脱ぎ捨てた絵と言葉が魅力的なのは言うまでもありません。 『je suis là ここにいるよ』 シズカ 作・絵/月とコンパス
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『歩き旅の愉しみ』【和書定価新本】
¥2,200
「歩き旅は空間を味わう経験であると同時に、時間を味わう経験でもある。緩やかさを称え、のんびり歩くのを楽しむことだ。」 フランスの社会学・人類学の研究者が、さまざまな民俗から現代文学までを引きながら、歩くことの効用や喜びを心身の両面から考えたエッセイ。 フランス語には「移動する」を意味する言葉がとてもたくさんあるのだそうです。なかでも「フラヌール」(ぶらぶらと歩きながら考える)は、とても豊かな散歩の時間を思わせて、私も大好きです。 きっと皆さんもこの本を読んだらどこかへ歩き出したくな流のではないでしょうか。 『歩き旅の愉しみ』 (ダヴィッド・ル・ブルトン著/ 広野和美訳/草思社)
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『「青鞜」の冒険』森まゆみ【和書定価新本】
¥2,090
ZINE、リトルプレス、ミニコミ……呼び名や方向性はいろいろとありますが、どうして私たちはわざわざ儲かりもしないのに、手作業、手弁当で雑誌なんか作るのでしょう。書くというなんとも孤独な作業を乗り越えて、原稿を持ち寄る仲間を得て、編み上がった自分たちの言葉が読者に届いていく、個が繋がっていくダイナミズムの確かな手触りが原動力なのかもしれません。 そんな雑誌作りの原点のひとつに『青鞜』があります。114年前、「新しい女」の地位と尊厳を求めて、平塚らいてうと仲間たちは雑誌『青鞜』を創刊しました。その始まりから終わりまでを丹念に調べまとめたのがこの本。らいてう、伊藤野枝、尾竹紅吉、保持研、そのほか多くの関係した人々を丹念に調査して、その等身大の姿を描いたノンフィクションです。 著者の森まゆみさんは41年前に地域雑誌『谷中・根津・千駄木』を創刊し、25年間編集にあたった人。雑誌を創刊したとき、平塚らいてうは25歳、森まゆみは30歳でした。本書の副題「女が集まって雑誌をつくるということ」は、『青鞜』と『谷根千』それぞれをめぐる状況にパラレルにかかる言葉なのです。 執筆、原稿回収、編集、広告集め、入稿、発送、経理、そしてまた次号の企画と原稿依頼……らいてうたちの『青鞜』運営は、日々の家事や恋愛・夫婦関係、懐事情などに翻弄されながら、どうにか続いていきます。それは森さんたちの『谷根千』も同じだったようです。先人への尊敬と同業者としてのストレートな批判を込めつつ、森さんは『青鞜』の冒険を現代の私たちにも地続きのものとして捉え直し、私たちは彼女たちの日々を間近で見ているように感じることができます。 平凡社から刊行されたこのハードカバーは美しい銀の箔押しが施されています。この図案は『青鞜』創刊号の表紙のもので、描いたのは長沼智恵、のちの高村智恵で、高村光太郎が『智恵子抄』に描いた妻その人です。 集英社からいちど文庫化されたものの、そちらは版元品切れ。ぜひこの上製本でどうぞ。 『「青鞜」の冒険 女が集まって雑誌をつくるということ』 森まゆみ 著/平凡社
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『先生の庭』いしいしんじ【和書定価新本】
¥1,650
SOLD OUT
「うつわ小説」シリーズは、鎌倉にあるギャラリー「うつわ祥見KAMAKURA」のプロデュースでいしいしんじさんが書き下ろす作品。四作目まで刊行が予定されています。 出版社 港の人 HPより ふとしたきっかけから茶道の世界に出会った主人公、亜美。初めてお茶碗を手にする亜美に先生は優しく語りかけ、お茶の深い世界へと導かれていきます。思いがけないできごと、思いがけない出会いをきっかけに、時を超えた人生の不思議に出会っていく姿が描かれる、力強いストーリー。 『先生の庭』 「うつわ小説」その3 いしいしんじ著 「うつわ小説」シリーズ その1 『からっぽの光』 https://flaneur.base.ec/items/107843551 その2 『皿をまわす』 https://flaneur.base.ec/items/107844000
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『皿をまわす』いしいしんじ【和書定価新本】
¥1,650
SOLD OUT
「うつわ小説」シリーズは、鎌倉にあるギャラリー「うつわ祥見KAMAKURA」のプロデュースでいしいしんじさんが書き下ろす作品。四作目まで刊行が予定されています。 出版社 港の人 HPより https://www.minatonohito.jp/book/448/ 鎌倉のうつわギャラリー「うつわ祥見KAMAKURA」プロデュースによる「うつわ小説」シリーズの第二作。 DJとうつわ作家の不思議な出会い。レコードプレーヤーのターンテーブルと轆轤(ろくろ)にそれぞれ向き合い、ほんとうに大切なことから目をそらさずに、それぞれの世界を生きてきたふたりが「皿」を通して交錯する奇跡を描く。 「一度うまれたろ、それが大事なんだよ。うつわってものは、いつか、必ずこわれる。けど、まずうまれなきゃ、なんにもはじまらない」(本書より) 小説の内容に合わせ、紙製レコードケース入り。 『皿をまわす』 「うつわ小説」 その2 いしいしんじ 著 「うつわ小説」シリーズ その1 『からっぽの光』 https://flaneur.base.ec/items/107843551 その3 『先生の庭』 https://flaneur.base.ec/items/107844630
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『からっぽの光』いしいしんじ【和書定価新本】
¥1,650
「うつわ小説」シリーズは、鎌倉にあるギャラリー「うつわ祥見KAMAKURA」のプロデュースでいしいしんじさんが書き下ろす作品。四作目まで刊行が予定されています。 出版社 港の人 HPより https://www.minatonohito.jp/book/442/ 牧野マキ先輩がアンデス高原に行く1年間、留守を預かることになったアユコ。植物や食器とともに先輩のマンションに住み、押しかけてきた弟のソウとの暮らしが始まる。日常の何気ない景色を描きながら、私たちを取り巻くさまざまなうつわと、そこに注がれ、あふれる光や音の姿を描き、私たちの生の輪郭を照らし出す……「うつわ」をモチーフに、読む者を根源的な場所へと誘う力強い物語。 『からっぽの光』 「うつわ小説」 その1 いしいしんじ 著 ※装丁は本を大きな紙で包みシールどめしてあり、外側の紙は青色とベージュ色の2種類があります。色はお選びいただけません。ご了承ください。 「うつわ小説」シリーズ その1 『からっぽの光』 https://flaneur.base.ec/items/107843551 その3 『先生の庭』 https://flaneur.base.ec/items/107844630
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※サイン本/ポストカード&栞つき『雪豹の大地 スピティ、冬に生きる』【和書定価新本】
¥2,420
「だって、冬に日本からここまで来るの、めちゃくちゃ大変なんだよ……。冬のスピティに、何があるのさ?」 「雪豹だよ!お前、写真家なんだろ?雪豹の写真を、撮りたいとは思わないのか?」 雪に覆われた標高4000メートルを超えるヒマラヤを生き抜く幻の雪豹やアイベックスと呼ばれる山羊たち。麓の村で生活する人々の衣食住や信仰。冬季にはそこに辿り着くだけでも5日はかかるというスピティの日常が、写真家・作家の山本高樹さんによる数多くの美しいカラー写真と文章で伝わってきます。 雪豹は全世界に7~8000頭ほどしか残っていないという絶滅危惧種。険しい山岳地帯に棲む「幻の動物」とも呼ばれているとか。 スピティは、インド北部ヒマーチャル・プラデーシュ州の北東部、中国と接するあたり。チベットとラダックの間に位置する地域で、チベット仏教を信仰するスピティ人が1000年以上にわたって農耕と牧畜をいとなみながら暮らしているそうです。 山本さんは20年近くヒマラヤ一帯にたびたび訪れ、チベット文化を取材してきました。その記録は『ラダック旅遊大全』や『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』で読むことができます。 本書『雪豹の大地 スピティ、冬に生きる』は、これまで描いてきたヒマラヤの美しく厳しい自然とそこに暮らす人々との交流に加えて、生き物たちの生態を捉えることも成功した貴重な内容。たいへんな労作と言えるのではないでしょうか。 シルバーに輝く装丁も美しく、手元に置いておきたくなる一冊です。 【サイン本/雪豹のポストカード&栞もついています】 『雪豹の大地 スピティ、冬に生きる』文・写真 山本高樹(雷鳥社)
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『宇宙の果てには売店がある』【和書定価新本】
¥1,980
SOLD OUT
「光速でパンを買ってきたので、不良達は年をとり、もう落ち着いていた。」 「実家の壁に時空の穴があるが、普段は地元の信用金庫のカレンダーを貼って隠している。」 こんな小さな本の中に、懐かしくて温かい宇宙時代の日常が封じ込められています。どのページを開いても、生活のひとコマから世界が立ち上がります。せきしろさんといえば、情景や妄想を哀愁と可笑しみのある自由律俳句の短い言葉に結晶させる名人。この本にもその魅力が詰まっています。 劇団ヨーロッパ企画代表の上田誠さんが帯に寄せた言葉、「郷愁とセンスオブワンダーと卓抜な笑い」がこの本の魅力を端的に表しています。 文庫本よりも小さい愛らしいこの本を持ち歩けば、ちょっとした隙間時間でも意識が宇宙に飛ぶのではないかと思います。 『宇宙の果てには売店がある 生活感のあるSF掌編集』 せきしろ/シカク出版
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『Letter』【和書定価新本】
¥3,300
ボルドー色のクロス装に金の箔押し、小口は天金で、手に収まりのいい小ぶりな上製本。一見して素敵なこの本は、ミナペルホネン・皆川明が日々の言葉を綴った一冊です。 日常の中から素朴で普遍的な美しさを取り出して見せ、長く愛されるファッション&インテリア・プロダクトを数多く生み出した彼は、日々どんなことを感じ、思いつき、言葉に残したのでしょう。 「デザインという実体として残る事とLetterという想いの言葉の関係が互いに響き合いながら私の生きる支えとなっていることを深く感謝しています。」 彼がLetterと名付けたこのテキストは、ウェブストアから発送する服に添えた1枚の紙に記されていたもの。2011年から2018年まで毎週1回書き続けてきたものがこの本になりました。顧客への手紙のような日記のような詩のような言葉。生まれたばかりの曖昧なイメージや記憶を捉えようとした、彼の創造の井戸へ潜って掬い出そうとした、一瞬で消え去ってしまいそうな生活の手触りを書き留めようとした、そんな彼の日々の意識の動きを私たちも感じることができます。 『Letter』皆川明/つるとはな 【出版社のウェブサイトより】 https://www.tsuru-hana.co.jp/books/letter/ ミナ ペルホネンのウェブサイトで人気のページ「Letter」は、オンラインでの服の販売とともに2011年から始まった。皆川明の手書きの詩と写真を、週替わりで用意し、一枚の紙に印刷して、品物に同封するささやかな試み。ウェブサイトでの連載も同時にスタートした。 「Letter」は、文字通り皆川明からの短い手紙のようであり、詩のようであり、呟きのようでもある。服をつくる気持ちの底のほうにあるこれらの言葉は、わたしたちが暮らすこと、生きてゆくことの惑いを、静かに整えてくれる。 「Letter」は読む者のこころに触れる親密な言葉の集まりだ。どこを開いて読んでもかまわない。くり返し手が伸び、任意のページに惹きつけられる、こころの辞書。くり返し手が伸びるのは、装幀の手触りにも理由がある。 装幀はサイトヲヒデユキが担当。ミナ ペルホネンの印刷物を手がけ、2019年、ニューヨークの老舗リッツォーリが刊行したミナ ペルホネンの本『ripples』のアートディレクションも手がけた。本書『Letter』の装幀は、「クロス装、箔押し、天金、角丸、スピンつき」。刺繍やベルベット、レースなど、忘れられつつあった素材や手法を甦らせるミナ ペルホネンの服のように、本書は古き良き装幀の素材、手法を採用した、特別な仕上がりになっている。