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『東京情緒』高﨑一【新本和書定価】

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フリーアドレスのオフィス、エクセル、パワポとにらめっこ、営業会議の張り詰めた空気、teamsミーティングの微妙なテンポ、終わった後の虚脱感。仕事帰りに閉店ぎりぎりのスーパーに駆け込んでカートに放り込むあれこれ。休むにしても遊ぶにしても上手く使えないで終わってしまうゴールデンウィーク。

この詩(あるいは散文的な私小説?)に描かれているのは、都会に暮らし働いている私たちみんなが知っている、あの感じです。無機質なオフィスの毎日にささくれだち、ときどき同僚の人間味に安らいで、通勤途中に見つけるちいさな都会の自然が遠い日の記憶を蘇らせて、夜のひとりの部屋で孤独の不安と開放感が入り混じる。

この本が面白いのは、おじさんの独白だというところです。四十代半ば、もう普通にビジネスで偉くなっちゃている著者(であり、私たち)の日常の機微や口には出さない思いが、ここに書いてある。おじさんだけど新しい書き手が、心の柔らかいところまで潜って、それを取り出すに相応しい言葉を懸命に探って、書き留めてくれる。それは他にあまりないこの本の面白みではないかと思います。

著者の高﨑一さんは武蔵小山在住。フラヌール書店のある不動前のお隣です。作中で地名を明かしている場面はそう多くはありませんが、この界隈なのだと知ってから読むと、ああここはパルム商店街、ここはかむろ坂、ここは戸越銀座なのだ、ここを歩いているのは私だと、情景をより鮮やかに捉えることができます。

土地勘がなくったってこの本の魅力は減じないんですが、この詩と一緒に不動前や武蔵小山をぶらぶら歩くのもいいと思います。忙しさでちょっと疲れたときなんか、とくに。

《出版社のHPより》
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田中優子さん推薦!(江戸文化研究者、元法政大学総長)
「これは、私の日々だ。あなたの日々かも知れない。
今まで言葉にもしなかった風景、人、通り過ぎる気持ち。
この本を手に取って、何人もがつぶやくだろう。
私も、書いて、みようか、と。世界が変わるから。」


通勤路で目にする草花、オフィスで交わす何気ない言葉、リモートワーク中のふとした仕草。
夕立にけぶるビル街、駅に満ちる人波、ふと胸をかすめるあの日の記憶――。

ビジネスの現場で日々奮闘しながら、都市に生きる私たちが見落としがちな日常のかけら。
その一つひとつを、掌編小説のように、あるいは散文詩のように、優しく、繊細にすくい取った、36の物語。

静かに心に灯をともす、都会の日常への小さなオマージュ。
第1詩集。
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【目次】
 まえがき

第一章 そよぐ年

 卯月  新緑の桜
 皐月  街中華の複雑系
 水無月 公園の異空
 文月  閉まりかけのスーパー
 葉月  入道雲を呑む
 長月  滑空する香煙
 神無月 萎縮と期待のはざまで
 霜月  自転車の平熱
 師走  十二月二十五日二十一時半 恵比寿駅
 睦月  楕円球の臆病
 如月  二月の暁
 弥生  〇・七ミリのボールペン

第二章 にじむ年

 卯月  四月の雪
 皐月  カフェで孤独
 水無月 朽ち濡れる紫陽花
 文月  ラジオに懐く
 葉月  夕立の胎内
 長月  目黒駅のニュアンス
 神無月 踏切でままならない
 霜月  月蝕と飴
 師走  工事現場の呆然
 睦月  東京タワーの抱擁
 如月  ホワイトボードの痕跡
 弥生  夜更かしの人々

第三章 うつろう年

 卯月  流浪の黄砂
 皐月  ゴールデンウィークの重力
 水無月 朝のシャワーで眠る
 文月  七月の臨界
 葉月  箸置きの結界
 長月  郵便受けと猥雑と
 神無月 空港の星座
 霜月  リモートワークの稠密
 師走  マンションとバーボンボトル
 睦月  なすがままで坂道
 如月  馴染みの店の懐味
 弥生  アーケードで遊歩

 あとがき
​【著者略歴】
高﨑 一(たかさき・はじめ)
1978年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、リクルート(現:リクルートホールディングス)入社。数社を経て、現在ベンチャー企業の取締役CFO。41歳で、武蔵野美術大学大学院造形研究科造形理論・美術史コース(現:美学美術史コース)修了。今作が初めての文芸作品。

『東京情緒』
高﨑一/コトニ社

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