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『色と形のずっと手前で』【和書定価新本】
¥2,530
「個人を描くと少なからず今の社会が見えてくる。ではグラフィックデザイナーを生業にした母親を描くと何が見えてくるだろう。自分のためにも、そしてもしかしたら私とおなじようなままならなさを抱えている誰かのためにも……」 子育てと暮らし、クリエイターとしての仕事、一市民としての社会へのコミット。ままならない日常の中でばらばらになりそうなさまざまなことを、自分の中につなぎとめて行こうとする思いが、臨場感を持って伝わってくるエッセイです。 グラフィックデザイナー、アートディレクターとしていくつもの大きな仕事を残してきた長嶋りかこさんは、38歳のときにご出産。妊娠期からの6年間の「iPhoneに溜まりまくったメモ」をもとにこの一冊を書き上げたといいます。日々の些細な出来事やそこに生じた心の機微、お子さんと一緒にどんどんと変容していくご自身の思考、これからの社会への想い。さまざまなものが渾然としつつしっかりとつながって語られます。 『色と形のずっと手前で』(長嶋りかこ/村畑出版) 長嶋りかこさんのウェブサイト https://www.rikako-nagashima.com
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『スリップの技法』【和書定価新本】
¥1,832
書店に並んでいる本に挟まっている縦長の紙切れのことを「スリップ」といいます。 本は売れるとお客さまの手元へと出ていくけれど、スリップは本の分身として書店員の手元に残ります。残されたスリップをもとに、私は本を買ってくださった方々の関心や生活のことを想像して、その人が次に関心を持ってくれそうな本のことや、そのお客さまと近い関心を持った他のお客さまに響きそうな品揃えのことを考えます。 今では多くの書店ではデジタルデータで在庫管理をしていて、スリップをめくりながら考えを巡らす書店員は少なくなりました。日々蓄積していく販売データは、活用の仕方がわかっていれば、こんな心強いツールはありません。でも、ただデータに決められる仕事に追われていては、そもそも何のために仕事をしていたのか、何をお客さまに伝えたかったのか、すぐにわからなくなります。 だから、「データに従わされる仕事よりも、自分の想像力でお客さまと対峙する仕事を自力で作りたい」と思って、その技術を鍛えてきました。私の編み出した技ではありません。「スリップの技法」は、昔の書店員にとってはさほど珍しいものではなくて、日常業務そのものでした。 この本では、前半は勤務書店員時代の日常業務を流れに沿って描写していて、後半はお客さまの買い方から「次の本」や「次の売り場」を私が提案するにいたるプロセスを60の実例を挙げて解説しています。紙のスリップを起点に思考したことをPOSデータを使って拡張していくといった自分流の併用についても書きました、とくにこの後半のパートは、書店員ではない方々からもご感想をいただきます。顧客像をよりリアルにイメージするペルソナ分析の手法だと言ってくださる方もいました。 書店員、書店で働きたい人、本屋を自分で始めたい人、本の選び方に興味がある人、お客さまのニーズを読み解くことに関心がある人、フラヌール書店を知っていて店主の頭の中が気になる人など、いろんな方々に読んでいただきたいと思っています。 『スリップの技法』 久禮亮太 著/苦楽堂 刊 吉野有里子 装画
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『bAGATELLe(バガテル)』【和書定価新本】
¥6,050
パリの蚤の市でたまたま掘り出したアンティークのポストカード……といったミステリアスな雰囲気を湛えた、それでいてどこか現代的なエッジを備えたこの作品集、私もとても気に入っています。 広告と雑誌をメインに活動している写真家、弘法亮さんが昨年刊行した初の作品集が、この『bAGATELLe』(バガテル)。フランス語で「ささいなこと」あるいは「断章」とか、クラシック音楽で大作を作る過程でこぼれ落ちたちょっとした器楽曲を意味する言葉です。 たしかに日常の断片を捉えたスナップショットのような作品群ですが、その日常とは、クラシカルでノスタルジックな遠い過去のような、でも薄いベールを隔ててすごそこにあるような、どこにもなさを持っているように感じます。 弘法さんがフランスでの活動を経て持ち帰ってきたテイストと現在のファッションセンスが拮抗しています。 「これをかっこいいと思ってくれた高校生が買えるくらいの価格にしておきたかった」と、弘法さんは言います。クロス装の上製本、A4変形判、71作品136ページというボリューム感でこの価格には驚きます。 『bAGATELLe』RYö KöBö The Books Publishing.co 収録作品数:71 ページ数:136ページ アートディレクション:ARTSetMÉTIERS A4変形(W216 × H277mm) W227×H310×D23mm 弘法亮さんHP http://www.koboryo.com
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『いちにち いちにち』【和書定価新本】
¥1,650
「痛みや苦しさは、創造することで軽減します。」 グラフィックデザイナーの柏木江里子さんは、がんで亡くなる前の最期の日々、ベッドで花を描いて友人たちへ手紙や葉書で送りました。友人のすすめで絵を型におこして手ぬぐいをつくることにも取り組むなかで、創ることに救われた思いを柏木さんはそう語っています。 この本は柏木さんが友人たちに送ったり手元のスケッチブックに残した絵を集め、友人で文筆家の青木美詠子さんが言葉を添えたもの。 技巧を凝らそうと意図したふうでもなく、素朴すぎもしない、そこにある花を鉛筆やペンで写し取ることにただ没頭したような丁寧な柏木さんの筆致は、それを描いて過ごした時間を私たちに想像させる余白が豊かにあります。 側にいて察せられる、あるいは察せられない死にゆく、生きようとする柏木さんの思いをめぐる、側にいる人々のほうの思い。彼女の生と死、あるいはそれぞれの生と死を想いながら平穏に生きることへの強い思いや自ずと湧き上がる言葉。いろいろなものが、青木さんの少ない言葉のなかにずっしりと、あるいは軽やかに表れます。 「もしかすると江里子さんが生きている時より、江里子さんのことを考えていることが多くなったかもしれない」と、青木さんは書きます。 『いちにち いちにち』 絵 柏木江里子 文 青木美詠子 信陽堂 私家版として刊行され1000部が完売したのち、信陽堂版として刊行されたのが本書。 信陽堂と柏木さんの関わりについて、ブログに書かれています。 https://shinyodo.net/diary/43/
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『レオ・レオーニと仲間たち』【和書定価新本】
¥3,500
谷川俊太郎が訳した絵本『スイミー』や『フレデリック』でおなじみの絵本作家レオ・レオーニは、グラフィック・デザイナー、広告のアートディレクター、画家、彫刻家と、さまざまな顔を持っています。その変遷や、ブルーノ・ムナーリやベン・シャーン、エリック・カールといった多くの「仲間たち」とのコラボレーションを、役300点の作品で縦横に網羅したのがこの本『レオ・レオーニと仲間たち』です。 レオ自身の作品だけをとってみても、ほんとうに多面的な魅力を感じられます。イタリア未来派の一員として残した抽象画、シャープなグラフィックデザイン、「平行植物」と名付けたシュルレアリスム的作品群、ユーモラスで手仕事の温かみを感じる絵本たち。その全体を一望できる一冊になっています。 2024年11月から25年1月13日まで板橋区立美術館で開催中の「レオ・レオーニと仲間たち」展の公式図録です。 https://www.city.itabashi.tokyo.jp/artmuseum/4000016/4001836/4001852.html 【出版社HPより】 国と国のはざま、絵画とデザインのはざま、大文字のアートと小文字のアートのはざま。 “はざま”で悩み、世界をつなぐハブとして生きたレオ・レオーニ。作品約300点収録。 絵本『スイミー』や『あおくんときいろちゃん』など、日本でも幅広い世代から作品が愛されてきたレオ・レオーニ。 その人生は、イタリアで未来派のアーティストたち出会ったことから動き出し、アメリカでアートディレクターとして活躍。晩年には最愛の土地・イタリアと、アメリカを行き来しながら作品を生み出してきた。本書は、広告や絵画、彫刻、そして絵本と、活動が多岐に渡る中で、決して色褪せることなかった、レオの“つくることへの熱意”を長年の調査研究とともに辿ってゆく。 また、ブルーノ・ムナーリやベン・シャーン、エリック・カールなどレオと親交が深かったアーティストたちとのエピソードや作品を通し、その時代性をも見つめてゆく。 松岡希代子(まつおか・きよこ) 板橋区立美術館 館長。千葉大学大学院終了後1986年より板橋区立美術館 学芸員として勤務。1989年から「イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」を担当、また絵本やデザインに関する展覧会を多く企画担当する。2010年から2014年まで国際児童図書評議会国際理事に選出され2013年IBBY朝日国際児童図書普及賞審査委員長を務める。ボローニャ、ブラチスラバ、上海などのイラストレーションコンクール審査員を務めるほか、ワークショップも積極的に行うなど国内外で活動。 森泉文美(もりいずみ・あやみ) 東京大学教養学部比較文化比較文学修士課程修了。1988年にイタリア政府給費留学生として渡伊し、ボローニャ大学文哲学部歴史学科卒業。現在ローマ在住。1990年よりボローニャ国際絵本原画展のコーディネーターを務め、同展のドキュメンタリー映像を制作。日本のブルーノ・ムナーリ展等のコーディネート、キュレートに関わる。アメリカ初のレオ・レオーニ展カタログに寄稿。イタリアでは児童の語学教育や絵本を中心とした日本文化普及のワークショップを行う。近年日本ではイタリアの触る絵本制作の方法論普及に貢献。 『レオ・レオーニと仲間たち』(青幻舎) 編著: 松岡希代子、森泉文美 アートディレクション: 名久井直子 判型: B5 総頁: 288頁 製本: 並製 ISBN: 978-4-86152-976-4 C0071
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『ちいさな花 咲いた』【和書新本定価】
¥1,650
この小説を、私も長く大切に持っておきたいと思っています。児童文学といえるジャンルの作品かもしれませんが、きっと子どもだけでなく多くの大人の読者のみなさんにもそう思ってもらえる気がします。 だれかのことを大切に想って、少しの間もはなれたくない。そんな気持ちがはじめて溢れ出してくるときのきらめきがこの本にはあって、読む私たちの心も輝かせてくれます。 そして、大切な存在とはなればなれになってしまう悲しさと恐ろしさに慄きながら、それでもおたがいを大切に思うことをやめない強さがこの本にはあって、読む私たちにも生きる力をくれます。 冬も間近に迫る時期にポツンと咲いてしまったたんぽぽと、生まれて数ヶ月の子犬のマール、何もかもを見通しているようで多くを語らないミステリアスな街ねこのミーシャ。街の片隅で生きる彼らの純粋な友情と懸命に生きる姿に心を打たれます。 くらはしれいさんの絵は彼らの愛らしさやはかなさや純真さをこの上なく表現していて、たまりません。 ぜひ一冊、長くお手元に置いておいてください。 【出版社のウェブサイトより】 ぼくがここにいるのは―― きみがぼくを見つけてくれたから 季節はずれのたんぽぽと 子犬と街ねこの、かけがえのない友情 めぐる生命の奇跡の物語 秋の終わりのある朝、街の通りのはしっこで、目を覚ましたちいさな花。ほっそりとした緑の背を伸ばしてあくびをしたら、つぼみが開いていきました――ぼくは、だあれ? どこから来たの? どうして、ここにいるのかな? そして、咲いたばかりの、季節はずれのたんぽぽを見つけたのは、子犬のマールと、街ねこのミーシャでした。たちまち、彼らは、あたたかな絆で結ばれた親友になりますが……。やがて冬が訪れ、木枯らしが吹き、つめたい雨が降りしきります。それでも、ちいさな花が懸命に生きようとするのは――きみがぼくを見つけてくれたから。 かけがえのない友情と、めぐる命の奇跡を描いた感動の物語。 https://www.kinnohoshi.co.jp/search/info.php?isbn=9784323055008 『ちいさな花 咲いた』 野中柊 作 くらはしれい 絵 金の星社
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『品川クザカイメグリ』【手製本限定100部】
¥3,960
雑誌『東京人』などで活躍する写真家の渡邊茂樹さんが地元である品川区を歩いて撮った写真集。手製本で限定100部です。 「品川区の区界が、歴史を経て川や稜線、など自然の地形をベースに形作れれてきたものと、埋立地の区界のように、人の手によって直線的に作られたものの二種類に大きく分類されます。 地形をベースにした区界では、まだ人の手が入らなかった頃の姿を追い求め、埋立地に引かれるまっすぐな区界では、直線で構成される土木建築に目が行きました。 品川区は荏原m大崎、品川、八潮、大井という地形が異なる5つのエリアに分けられます。そしてそのエリアにある区界の表情も異なってきます。 多様な表情を持つそれぞれのクザカイの魅力を感じていただければ嬉しいです。」 渡邊茂樹さんのコメント ■A5横判型 ■48ページ ■著者 渡邊茂樹 ■装丁デザイン 村上葉子
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『LISTEN.』【新本和書定価】
¥4,400
SOLD OUT
俳優の山口智子は、CMディレクター ギャリー・バッシンと二人で「本当に見たいと思う映像を作ってみよう」と、世界各地の音楽とそれを演奏する人々を記録する旅を続けてきました。それは2011年に始まり、10年をかけて26カ国を巡り、250を超える曲を収録し、31のエピソードとしてBSで放映されました。 本書は、その旅を山口の言葉で辿りなおします。世界各地の消えゆく伝統音楽を未来に伝えることを自身のライフワークだと語る彼女が、いかにこのプロジェクトを愛し、自ら土地土地の人々との関係を築き上げていったかを知ることができます。演奏者の息遣い、聴衆の眼差し、音楽の生まれる場の熱量。そんな瞬く間に消えて捉え損なってしまうような機微を、本書は伝えてくれます。 本文に添えられたQRコードで、貴重な演奏映像を観ることができるのも、本書の大きな魅力です。 『LISTEN.』 山口智子 著 生きのびるブックス ISBN: 9784910790060
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『春之日抄 私の佐藤春夫作品集』【和書新本定価】
¥1,150
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『生=創×稼×暮』【和書新本定価】
¥1,980
SOLD OUT
あなたが生きるとき、 創ること・稼ぐこと・暮らすことのバランスを どのように保っていますか。 さまざまな生業をもつ19人が、この問いに答えようと、自分の来歴や今を率直な言葉で綴っています。 パン職人、詩人、鷹匠、花屋、農家、本屋……多様な職業に就く彼らを、本書を企画編集した佐々木風さんはすべて「芸術家」だといいます。 独自の視点、言葉、世界観をもち、それを作品にする、あるいは体現する、つまり「創る」というおこないは、社会や生活の場に遍在していると考えるから。 この広義の「芸術家」とは、私たちのことでもあると思います。少しでも自分が何かを生み出す充実感を求めて生きる私たちみんなのことです。 この私たちが「創ること」に夢中になっているとき、「稼ぐこと」「暮らすこと」を忘れてしまいがちだと佐々木さんはいいます。 この3つのバランスをめぐって、19人それぞれの格闘する姿がこの本を通して伝わってきます。 『生=創×稼×暮』 かくれんぼパブリッシング 書いているのはこんな方々 ・小説家/大学生 新 胡桃 ・四つ葉のクローバーアーティスト 生澤 愛子 ・薪ストーブ職人(株式会社ファイヤピット代表) 大石 守 ・おおば製パン店主 大場 隆裕 ・農家・百姓/ファームガーデンたそがれ園主 菊地 晃生 ・詩人・国語教室ことぱ舎代表 向坂 くじら ・とおの屋要オーナーシェフ ・株式会社nondo代表取締役 佐々木 要太郎 ・諏訪流鷹匠 篠田 朔弥 ・文筆家/博士(哲学) 関野 哲也 ・あんこや ぺ 店主 竹内 由里子 ・文筆家 土門 蘭 ・書店「かみつれ文庫」店主 西岡 郁香 ・花屋みたて店主 西山 美華 ・新渡戸文化学園 VIVISTOP NITOBEクルー 廣野 佑奈 ・古本よみた屋 副店長/文章で遊ぶ人 ブン ・はれやか農園代表 槇 紗加 ・江戸切子職人 三澤 世奈 ・本屋店主/モノ書き/時々大工 モリテツヤ ・空撮写真家/NaohPhoto 山本 直洋 出版社のHP https://kakurenbo-publishing.com/books
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超個人的時間紀行【新本和書定価】
¥1,650
タイムトラベル専門書店 @utoutobooks の店主で文筆家の藤岡みなみさんが主催する「タイムスリップ。ノンフィクションzine」です。 執筆しているのは…… 安達茉莉子さん 岡田悠さん 小原晩さん 小山田浩子さん 久保勇貴さん JUNERAYさん 瀬尾夏美さん phaさん パリッコさん 吉川浩満さん 藤岡みなみさん 装画は Ayumi Takahashiさん ロースケイさんによるテーマソング「タイムラインでつかまえて」もあわせてお楽しみください。 https://www.youtube.com/watch?v=K5_f0SMO-yQ
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『楽園』【和書新本定価】
¥11,000
とても美しい造本の詩集と写真集です。『楽園』と題された函には、詩集”shuffle”と写真集”lost&found”が収められています。 詩作も写真も、若き日の谷川俊太郎自身の手によるもの。18歳から21歳のときの作品たちが70年のときを経て本になりました。 谷川さんは詩と写真をほぼ同時に始めたといいます。そのキャリアを通じてたくさんの写真を残しており、詩人と写真家、両方の顔を持っています。 初めて手にしたカメラはリコーフレックスという二眼レフで、写真集“lost&found”にはそのカメラで撮り70年眠っていたフィルムが使われています。 詩集”shuffle”は、余白と書体が美しく、他の詩集で既出の詩にもあらたな印象で触れることができます。谷川さんは「写真集との関連も考えながら編んでみました……言葉によって写真が持っている含意が深まるような詩を探すのも、ペアになったこの写真と詩の本の楽しみ方」といいます。 2冊はそれぞれ鮮やかな色のクロス装上製本で、函にはリソグラフが貼られています。まさに愛蔵版といえる作品集だと思います。 ※出版社のウェブサイトより https://www.twovirgins.jp/book/rakuen/ 若き谷川俊太郎の日常― 日本を代表する詩人・谷川俊太郎氏は、自身で写真も多く撮影している写真家でもある。「楽園」は、谷川俊太郎が詩人・写真家としてまだ世に出る前の18歳から21歳の時期に、二眼レフカメラで身の回りの日常を捉えた写真を収めた写真集と、友人に勧められて詩作を始めたころの詩を中心に谷川氏自身が選び編んだ詩集の2冊をリソグラフ装の箱に収めた「谷川俊太郎の原点」の作品集である。 谷川氏が愛した日常の光景を収めた写真と、社会への距離感と自由への憧れを感じながら生きる心象を描いた詩を併せて味わうと、写真が持つ含意がより深まるように感じられ、70年前の谷川氏の作品が、時を超えて今も、豊かな時間と空間を湛えていることに驚かされる。 「楽園」は、谷川俊太郎氏のアーリー・ワークスであると同時に、70年早くに生まれた「永遠の少年」の魂のタイムカプセルである。 製版と印刷と製本は、熟練した手仕事の職人的なプロが集結して携わり、装丁のリソグラフまで手仕事というクラフトワークの塊を、愛蔵版として少数限定で制作する。アートディレクションと編集は、フィルム写真の素晴らしさを再発見して、新たに現代に甦らせる「Dear Film Project」のメンバーが担当した。 写真集「lost&found」 布製80ページ 詩集「shuffle」 布製80ページ リソグラフ函入り ※本書は2冊セットでの刊行となります。 『楽園』谷川俊太郎/トゥーヴァージンズ
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Andy Warhol PHILOSOPHY PENCILS【雑貨・文具】
¥330
アンディ・ウォーホルの金言が刻まれた鉛筆です。 Andy Warhol PHILOSOPHY PENCILS この鉛筆に刻まれた言葉は、たとえば…… “IN THE FUTURE EVERYBODY WILL BE WORLD FAMOUS FOR FIFTEEN MINUTES.”とか、 “BEING GOOD IN BUSINESS IS THE MOST FASCINATING KIND OF ART”とか。 まあ、鉛筆なんてなんでもそこらへんに転がっているものを気にせずガリガリ使うのがいちばん気持ちいい気もしますが、アイディアが降りてくる魔法の鉛筆ということで、おすすめです。 内容:8本入り 紙ケース 芯の濃さ:HB相当(US standard no.2) メーカー:galison ご一緒に、アンディ・ウォーホルの自伝エッセイ『ぼくの哲学』はいかがでしょう。 https://flaneur.base.ec/items/86909621
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『ぼくの哲学』文庫版【和書新本定価】
¥935
大ロングセラーとして知られるアンディ・ウォーホルの自伝的エッセイ『ぼくの哲学』が文庫版になりました。 複製技術時代、メディア時代のアートが向かう方向性を決定づけた存在、ウォーホルの慧眼、孤独、虚無、繊細さ、太々しさ。取り止めなくアップテンポで展開するクールなおしゃべりのように続く文章は、そういうスタイルの小説のようにも読めて、気づくと彼のエッセンスが満喫できる一冊です。 ところで、アンディがプロデュースしたバンド、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのルーリードとジョン・ケイルは、アンディが58歳で亡くなった後、その追悼としてアルバム”Songs for Drella”を作りました。Drellaとは、アンディのニックネームで、ドラキュラ+シンデレラの意味。時代の寵児であり虚無の王のようであった彼の存在感を見事に捉えたあだ名だなと思います。 ※出版社のウェブサイトより その男、偶像か、トリックスターか。NYを舞台に世界を熱狂させ続けたアーティストの稀有なる証言。シャイで神経質だった幼少期から、孤独を受け入れた途端に取り巻きができ、夜な夜なパーティに繰り出した狂騒の時代まで。「芸術家は英雄(HERO)ではなく無(ZERO)」「芸術なんて作ればもう新しくない」と豪語し、ひとところに留まらなかった時代の寵児は何を見、何を語ったか。唯一無二の決定的自伝。 https://www.shinchosha.co.jp/book/240561/ 『ぼくの哲学』(アンディ・ウォーホル/落石八月月 訳/新潮文庫) ちなみに、アンディの金言が刻まれた鉛筆も販売してます。ご一緒にいかがですか? https://flaneur.base.ec/items/86910211
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『銀河マリーゴールドシネマ』【和書定価新本】
¥3,300
劇場の暗闇で映画を観るという日常の儀式がどれだけ私たちの心を救っていたか、どれだけ心を耕してくれていたか。この小説を読んでいて、それを思い出しました。 著者の荒河踊さんは、20代から映画館でアルバイトを始め、その後25年にわたって都内の名画座で支配人を務めてきました。映画館という場に集う様々なお客様、日々の仕事、数えきれないほどの上映作品、そういったすべてを現場で捉えてきたからこそ、この温かな手触りのある世界を描けたのだろう。そう感じます。 物語は入れ子のようになっていて、私たちはこの一冊で7本の映画を主人公と一緒に観ることになります。メイン・ストーリーは、なにか大きな喪失を抱えさまよう主人公とそれを温かくもてなし導く映画館館長の交流。謎めいたひと気のない映画館で、館長は日々、地下のフィルム庫から選んだ作品を上映してくれます。そのひとつひとつを、荒河さんはまるで実在する作品かと思うほど作り込みます。どの作品にも挿画を担当したMao Ishitsukaさんによるポスターがあり、監督、出演者、惹句まで描きこまれています。 ポスターが掲げられ、「映画説明者」による作品紹介があって、上映が始まります。スピーディに展開するストーリーに引き込まれ、終演。私たちは空白に戻ったスクリーンを見つめて余韻を感じます。上映される作品たちのなんとも言えない「B級」感が愛らしく、たまらなく懐かしい気持ちに。実際にありそう!もしかしてあの映画のオマージュかも?!と楽しめるディテールに、映画愛の深さを感じて唸ってしまいます。 多様な映画作品たちが織りなす星座、観客で溢れることもあれば誰もいなくなることもある映画館という空間、監督たちの孤独な苦悩、そういったものを愛情深く、でも距離をとって俯瞰する視点は、私も長く書店のレジ越しに見続けてきた風景に似ている気がして、とても共感します。 物語は宮沢賢治の寓話を思わせたり吉田篤弘の温かさを思わせたり、にわかに思弁SFを感じさせたりと、もしかすると荒削りといえる部分もあるかもしれません。でも、それが愛らしく感じます。自身が愛してきた映画館という小宇宙を、自分も「創りたい」という衝動に任せて作り上げてしまった、そのDIY精神が痛快です。 作中で主人公は100本の映画を観るのですが、巻末にはその100作品すべてのあらすじと監督、出演者、上映時間やフィルムの仕様まで一覧で掲げてあります。すべてのディテールを心から楽しみながら作り込んでいった様子が思い浮かび、その「オタク」ぶりに笑いが込み上げます。 とても個性的で愛らしい作品だと思います。ぜひ読んでみてください。 ーーー出版社の紹介文よりーーー 旅に出たぼくは 映画館の無い世界で 映画館と出会った 元映画館支配人が描く、ちょっと不思議でちょっと可笑しな理想の映画館 映画や映画館が存在しない世界で、不思議な力に導かれて古い〈映画館〉とめぐりあった少年のような青年が、孤独に映画館を守っている老館長と交流するうちに、映画の魅力を知り、いつしか映画を通して自分がこの世界に存在する理由に気付いていく。 館長が選んだ100作品の映画を観終わった時、主人公の青年は何を思うのか? 『銀河マリーゴールドシネマ』 荒河踊 著 ぶくぶっくす 発行 ISBN:9784991324000
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『ソング&セルフ 音楽と演奏をめぐって歌手が考えていること』【和書定価新書】
¥2,860
「音楽には奇妙な力があり、最大限にその力を発揮したとき、詩人ジョン・キーツが【消極的受容力(ネガティヴ・ケイパビリティ)】と称したもの、つまり未解決なものや答えのないものと共存していく能力を体系化することができるのである。音楽はわたしたちにいろいろなことを考えさせもするが、同時に思考を超越させることもある。」 世界的なテノール歌手、イアン・ボストリッジは、オックスフォードで近代史を学んだ博士というもう一つの顔があります。 歴史学者としてクラシック音楽を紐解き生と死、ジェンダーやポストコロニアルの視点から再定義する営みと、歌手として音楽と溶け合い自己が変容する体験、ときに相反する二つを一冊のうちに拮抗させた、個性的で知的好奇心を掻き立てられる本です。 ーーー以下、出版社のHPよりーーー 歌をうたうとき、歌い手の自己はどのように変容するのか──。 「音楽の解釈者のなかでももっとも才能ある文筆家」(アルフレート・ブレンデル)と評される英国随一のテノール歌手イアン・ボストリッジが、「ダフ・クーパー賞」(すぐれたノンフィクション作品にあたえられる英国の権威ある文学賞)を受賞した前作『シューベルトの「冬の旅」』(小社刊)に続いて世に問う音楽論。 ジェンダー、人種、死をめぐり、モンテヴェルディ、シューベルト、シューマン、ラヴェル、ブリテンなどの作品を考察し、音楽の「隠された歴史」にせまる! ◎本書に登場する音楽作品 モンテヴェルディ『タンクレディとクロリンダの戦い』 シューベルト『冬の旅』 シューマン『女の愛と生涯』 ラヴェル『マダガスカル島民の歌』 ブリテン『カーリュー・リヴァー』『戦争レクイエム』『ヴェネツィアに死す』ほか 出版社の紹介ページ https://artespublishing.com/shop/epub/86559-288-7/ 『ソング&セルフ 音楽と演奏をめぐって歌手が考えていること』 イアン・ボストリッジ 著 岡本時子 訳 アルテスパブリッシング 発行 ISBN:9784865592887
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『Black Hawaii』【和書定価新本】
¥4,800
ハワイの浜辺の夜、美しく呪術的な風景あるいは幻視を、伸びやかな水彩と言葉で描き出す作品集”Black Hawaii”がおすすめです。 フランスで制作活動をする画家、田中麻記子さんのこの作品は、一冊のマジックリアリズム的絵本とも言えるかもしれません。 ビーチに響き渡る、あるいは幻聴なのか、リズムと音階が色彩と渾然となって伝わってきます。 巻末には、2曲入りの7インチ・レコードが付いています。 “ALohahaha” “Surfing with No Waves” この2曲は、ギタリストのマーク・リボーがこの作品のために書き下ろし、弾いたのだとか(聴きたい!)。 “Black Hawaii” Makiko Tanaka HeHe刊
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『オリンピア』【サイン本・和書定価新本】
¥2,750
第二次大戦をきっかけにドイツからカナダへ移住したある家族の物語を7話で描き出す連作短編集のような、7章からなる長編のような一冊。 三代にわたって無名のアスリートとしてオリンピックに関わってきた一家の歴史を戦争を背景としながら描き出す本書は、スポーツや戦争といった言葉のイメージとは反対に、詩的で静謐な小説世界。 水や空気を象徴的に描く筆致は「カズオ・イシグロやジュリー・オオツカなどの傑作にも劣らぬ密度の高さ」と、訳者の越前敏弥さんはあとがきに書きます。 出版社の本書紹介ページ https://www.kkyeditors.com/page0002.html 越前さんのご署名入りの本をご用意しております。特にご指定がなければ、サイン本をお送りいたします。通常品をご希望でしたら、お手数ですがご注文とあわせてメールにてご一報ください。
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たんときれいに召し上がれ 美食文学精選【和書新本アウトレット】
¥1,595
SOLD OUT
【新本50%OFF】アウトレット・ブックスご紹介です。 『たんときれいに召し上がれ』(芸術新聞社) 2022に亡くなった故津原泰水さんが編者となって、明治から現代まで作家たちが書く美食の世界を集めたアンソロジーです。 36人の作品およそ500ページと、津原さんによる全作品の解題つきというボリュームで、定価の半額の1450円+税。文庫にはなっていません。 掲載作家は…… 金子國義 尾崎翠 開高健 澁澤龍彦 古川緑波 倉橋由美子 隆慶一郎 筒井康隆 山田風太郎 C.W.ニコル 谷崎潤一郎 伊藤計劃 夢野久作 芦原すなお 青木正児 上村一夫 村山槐多 南條竹則 北大路魯山人 太田忠司 三島由紀夫 清水義範 中井英夫 澁澤祐子 小林秀雄 色川武大 中島らも 内田百閒 石井好子 種村季弘 長沢節 津原泰水 森鴎外 森茉莉 夏目漱石 正岡子規 (掲載順) ※アウトレット品です。(古書ではなく)新品ですが、日焼けなどがわずかにあります。ご了承ください。
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『楽器の物理学』【和書定価新本】
¥8,250
SOLD OUT
楽器が鳴るという現象を、ここまで徹底して定量的に、さまざまな原理で発音する楽器たちを網羅して解き明かした本は他にないのではないでしょうか。20年間も版を重ねてきたことも納得の名著です。 楽器と演奏について語ろうとするとき、演奏家や聴き手の主観的で微細な感覚を表現するために、どうしても曖昧な表現や科学的に必ずしも正しいといえない説明をしてしまうことが多くあります。そこからさまざまな俗説が派生して、私たちが共通の尺度で演奏や音色について対話することが難しくなることもしばしば。 本書は手加減なく数式が挟まれ難解な印象こそありますが、文章は明快かつ丁寧で、その楽器が鳴っているとき何が起きているのかを細大漏らさず描き出します。音の発生源である振動そのもの、音波といった原理の解説に始まり、撥弦・擦弦楽器、金管・木管楽器、打楽器それぞれの具体的な解説、素材別の音響特性まで、なるほど!と膝を打つところがいくらでもある充実した内容です。 すぐに読み通せなくても持っていれば必要なときにぜったい頼りになる、そういう本のひとつです。 『楽器の物理学』 N.H.フレッチャー/T.D.ロッシング 著 岸憲史/久保田秀美/吉川茂 訳 丸善出版 刊
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『ゆきのゆきちゃん』【和書定価新本】
¥2,750
季節の到来とそれを全身で感じるいきものたちの躍動が、心に流れ込んでくる。きくちちきさんの作品に出会うたび、そう思います。 この新作も間違いなくそんな一冊です。墨の筆使いがのびのびとしていて、わくわくします。版画のように刷られた銀がそれを引き立てます。 子どもも大人も外に飛び出したくなるような魅力があります。 『ゆきのゆきちゃん』きくちちき(ミシマ社)
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『ビア・マーグス ビールに魅せられた修道士』【新本和書定価】
¥2,640
中世のビールをめぐる歴史と日常をタイムトラベルで見てきたかのようにありありと体験できるミステリ大河ドラマ小説、『ビア・マーグス ビールに魅せられた修道士』をご紹介します。 13世紀半ばのドイツに貧しい農家の息子として生まれたニクラスはビール作りを志ざし、やがて当代随一の醸造家となり「ビア・マーグス(ビールの魔術師)」と呼ばれるまでに。そして数々の醸造技法を遺して生涯を終えます。幼少期からのライバルにつけ狙われ、天災や事件に翻弄されながら進んでいく彼の生涯を私たちもハラハラしながら追いかけていくうちに、ビールと中世ヨーロッパの歴史に詳しくなってしまいます。 ビールは中世ヨーロッパでは「飲むパン」と呼ばれたといいます。キリスト教徒、とりわけ修道士たちは、断食の期間中であっても飲むことは許されていて、ひとりあたり数リットルもの量を毎日のように飲んだとか。ビールは人々が生きていく上で不可欠な食糧であり、聖職者を虜にし、ときには大国の政治を左右するほど魅惑的な嗜好品でもあったようです。中世ドイツにおける教会や都市をめぐる政治情勢や大事件とそこでビールが果たした役割、ヴァイエンシュテファン、ザンクト・ガレン修道院といったビール史に重要な場所や人物があちこちにに散りばめられ、物語と史実が重層的に進んでいきます。 ニクラスは職人として成長するなかで、パン種を煮込むグルートビールに始まり、薬草のビール、現代的なホップ入りビールへと、挑戦の幅を広げていきます。そこに描かれる技法やレシピ、設備の進化もまたリアリティに溢れていて、読み終える頃には醸造にもすっかり詳しくなっているはず。 著者自身もビール醸造家であり、訳者もドイツの食に詳しくビアソムリエでもあるという本書は、細部まで緻密にビールの世界を描き出してくれます。 『ビア・マーグス ビールに魅せられた修道士』 ギュンター・テメス 著 森本智子・遠山明子 訳 サウザンブックス社 刊
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『いまここ』谷川俊太郎、川内倫子【新本和書定価】
¥2,750
SOLD OUT
わたしは いつ ? わたしは いま ひとでは うみで ほしの かたち いるいる いま わたしを だいて …… 谷川俊太郎さんの素朴て根源的な言葉と川内倫子さんの光そのものを捉えたような写真が織りなす世界がとても心地いい一冊です。 この世界の背景には、レイ・ハラカミさんとクラムボン原田郁子さんの音楽も存在します。 かつてレイ・ハラカミさんは日本科学未来館のプラネタリウム作品「暗やみの色」の音楽監督を務めました。このプロジェクトに共鳴し参加した原田さんは曲を、谷川さんはそこに詩を、ハラカミさんはサウンド・テクスチャを持ち寄り、「いまここ」という楽曲が生まれました。 この作品世界に川内さんが合流したことで、この美しい一冊が生まれました。「暗やみ」からスタートしたプロジェクトが、このように光溢れる作品を生み出したことがとても面白いと感じます。 『いまここ』谷川俊太郎、川内倫子/torch press
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『je suis là ここにいるよ』【新本和書定価】
¥2,640
こんなに心に染みる造本があったかな……と思える、ずっと持っていたい絵本が生まれました。 亡くなってしまって、もう姿が見えない愛するネコ。見えないけれど、いまもここにいる。 ネコを亡くしたボクはただ一人、クリーム色の本文用紙にぽつんと描かれている。 亡くなったネコは、薄い膜のような半透明の紙に描かれて、いつもと同じくボクの側にいるのに、別のレイヤーに行ってしまってボクには見えない。 それが、段々と、見えないけれどそこにいると感じられてくる。 愛する存在と死別する悲しみとそれを受け入れること、その心の流れを、造本の技法によってこんなにも心に迫るものとして表現できるなんて、素晴らしいなと思います。もちろん、素直で余計なものを脱ぎ捨てた絵と言葉が魅力的なのは言うまでもありません。 『je suis là ここにいるよ』 シズカ 作・絵/月とコンパス